パリ1区のレストラン “a la marguerite” 五屋シェフの料理
30年以上フランスで生きる、五屋シェフの料理。私の最も尊敬する、本当にお世話になった方。
フランス料理に使われる食材や技法の中に、日本を主体としたアジアのエッセンスが練りこまれている。
初めてしょうゆをフランス料理に取り入れようとしたとき、周囲のフランス人にとっては物凄く抵抗があったそうだ。
まず、しょうゆがどんなものかを相手に分からせ、どうやって使うかを伝え、そしてそれがおいしいんだということを感じさせる。簡単ではなかったそうだ。でも今では、パリのレストランでしょうゆが置いていないところはないのではないかというくらい、ポピュラーな調味料のひとつとなっている。
単なる日本文化の流行ではなく。
この店には十分なスタッフの数がいないから、難しい料理や手の込んだ盛り付けはできないんだ。
そう言いながら教えてくれたひとつひとつの料理は、衝撃的だった。
a la margueriteに来るお客さんはほとんどがフランス人。日本人向けの情報誌に掲載されたときには一気に日本人のお客さんが増えたけど、基本的にはいつもフランス人がホールを埋めていた。
そのお客さん達は皆、このレストランは日本人のシェフがいる、日本のスタイルとフランスのスタイルを掛け合わせた料理をサービスしている、と分かってそれを求めて来ている。
しょうゆの混ざったバルサミコのソース。ゴマがまぶされたカツオのミキュイ。シソが添えられたホタテのカルパッチョ…そんなスタイルを楽しみに、たくさんのフランス人が集まる。