フランスのびっくりバス事情
パリに暮らし始めて数日のこと。
語学学校のあるパリ中心地に、学生寮の近くから出ているバスで向かおうとしていた。朝8時半くらいだった。満員に近いくらいたくさんの乗客がいた。
20分くらい走ったところで、バスは突然止まった。アナウンスが流れ、そして乗客は一斉にそのバスを降りて歩き出した。
え?どうゆうこと…
ワケも分からなかったが、学校まで歩ける距離だったのでそのまま歩いた。
授業が終わり、日本人の友達に朝の出来事を話してみた。
「あ~、それよくあるんだよ!」
彼女はバスが止まった理由を教えてくれた。
「運転手の勤務時間が終わったから!」
バスの運転手さんは、自分の勤務時間が終わったからそのバスを止め、帰っていったとのこと。しばらくすれば、次の勤務の運転手さんが来るそうだ。乗客も特に何とも思わないらしい。
今となれば納得だけど、その時は信じられないくらいの驚きだった。
自分の勤務時間が終わったら、サクッと帰る。そんなの当然のことなのに、サービス残業なんていう言葉が当たり前にある日本の社会で働いていた自分には衝撃だった。
それ以来、私はバスはよほど本数が多く便利な場所以外では、使わなくなった。上手に使えれば便利だし、景色も見れて好きなんだけど。
自分が退勤した後、自分が退職した後のことまでを考えながら仕事をするのって、日本人の特徴なのかな…と感じることが生活、仕事を通して多々あった。その中でもこの日のことは、最初の出来事で私の中でとても印象的なフランスらしいエピソードだ。