色んな生き方。
パリの街では、色んな生き方が見られる。
この人はルーブル美術館の前、メトロの駅を上がってすぐのところで絵を描いている。
自分は絵を描いて生活をしている。お金が欲しい。というようなメッセージを共に書きながら、何種類もの絵を描いては消し、また描いては消している。
彼の人となりと描かれる絵のインパクトからか、いつも彼とこの絵の周りには結構な人が集まっている。
私も、初めてこの光景を見たときには衝撃的だった。ルーブル美術館のモナリザの集まる人垣よりも、ずっと印象に残っている。
彼らは、オルセー美術館の前でパフォーマンスをしていた3人組み。
スケートに乗って歩道を颯爽と滑る人。かなり目立っていた。
そして演奏者。
その脇で人を笑わせるコメディアン。
パフォーマンスが気に入れば、こちらのクマさんにお金を渡して下さい。
お金を下さい、というよりは本気で楽しんでいるように見えた。実際にたくさんの人が集まり、階段に座って彼らのパフォーマンスを楽しんでいた。
街中で音楽を楽しめるところは、ヨーロッパの魅力であると思う。
パリ中心地に突然音楽隊が出動することも、日常茶飯事。
彼らのパフォーマンスは生き方そのものだと思う。誰かに用意された、何かのレールに乗って生きるのではなく、自分自身の心の“感性”に素直に生きているように感じる。
ヨーロッパでの生活で何を見て何を感じたか。技術や言葉よりも価値のある、生き方に反映されるもの。
日本での暮らしの中で、いかに自分が存在する環境で評価をされる為に犠牲にしたものがあったか。そしてその認められたかったものは、どれだけの価値があったものであったか。そんなことを考えるようになった。
仕事や立場を守る為に、自分自身に嘘をついていたことに気づいた。それまでの私。
決められたもの、与えられたものの中で満足するよりも、どうしたらもっと良くなる、もっと楽しくなる、思いを表現できる…そんな風に試行錯誤をしながら生きていく方がずっと面白い。