パリジャンのムッシュー
彼との出逢いはこのカフェだった。
語学学校の友人とたまたま入った、サンジェルマン・デ・プレのラム酒を取り扱ったカフェ。この街自体が大好き。
一番人気はコレ!!
ババ・オー・ラム。ラム酒がたっぷり染み込んだケーキ。
こんな場所で出逢った。
窓際の席に2人で座り、メニューを選んでいると、選ぶのを手伝おうか?と声をかけてくれた人がいた。
フランスに来たばかりで、店員さんとのやり取りも一苦労な私達に、分かりやすい砕けたフランス語で話をしてくれた。
彼の名前はベーナード。
パリ生まれパリ育ち、正真正銘のパリジャンの、75歳の紳士。
メニューのやり取りから始まり、おススメのケーキを一緒に注文して食べた。
彼はお医者さんで、今は在宅で医療誌へ執筆の仕事をしているそうだ。
どこから来たのか、何しに来たのか、これからフランスでどんなことをしていきたいのか、と色んな話を聞いてくれた。フランス人と会話をするのは本当に一苦労だったが、彼はわからない言葉は筆談をして意味もしっかりと教えてくれた。
3人で夕方までカフェにいて、明日もこの時間にここで会おうと言ってくれた。
私はフランスに行ってから語学学校に数日しか通わなかったが、こういった地元の人とのやり取りが本当に勉強になった。
この日から私達は、ムッシュー・ベーナードにパリを案内してもらうことが何回も続いたのだ。