a la marguerite 渡仏歴33年の日本人シェフのレストラン
このお店のアントレコートが美味しすぎた。
フランスで食べたもので、美味しかったものは?と聞かれると必ず人に話したくなるのが、この店のお肉。
大きすぎて全部食べられなかったけど、しっかりと肉の味がして噛み応えがあり、尚且つ固くない。表面がカリッとしてちょうど良い塩加減。こんなにシンプルに焼いた肉を食べて感動することって、あるんだと思った。
アミューズにデセールが付いて、25ユーロくらいだったと思う。
2階建ての広い店内は、余裕があった。一人では入りづらいくらい、ちょっと高貴な印象も受けた。
ランチを食べ終わって約束の時間に改めて店に行き、面接をした。
バンダナを巻いた当時58歳のシェフが出てきて下さり、色々な話をした。
名古屋出身で生まれた町の近くに私が住んでいたこと。自分はもうフランスに来て33年になるんだということ。簡単な身の上話の中でも、人間味が伝わってくるような方。
厨房を案内して頂きながら、とにかく人が欲しいからすぐにでも来て欲しいと、ここでも。
仕事が決まらなくて困り果てて、日本に帰ろうか語学留学に気持ちを切り替えようかと考えていた私にとって、みんな神様のようだった。
3軒の中から選ぶことが出来るのだ。信じられなかった。
検討させて下さいと、また店を出た。
とにかく、シェフのバンダナとキャラクターと、アントレコートの味が印象的だった。
どの店で働こうか。少しの間贅沢な悩みを抱えることとなった。だけど、全てのお店を一度訪れた地点で、私の中でちゃんと答えは出ていたのだと思う。